一般婦人科外来

診療内容

一般婦人科外来 一般婦人科外来 Gynecology


日常的な婦人科の症状はたくさんあります。

  • おりものの調子が悪い。かゆみがある。かぶれてひりひりする。
  • 生理以外で出血がある。
  • 生理不順、生理が早く来たり遅れたり。安定しない。
  • 生理前になるととにかく調子が悪い。
  • 生理痛がいつもひどい。だんだんひどくなっているような気がする。
  • 生理の量がとても多い。増えてきた。
  • 貧血がある。
  • 妊娠目指しているけどなかなか妊娠しない。

また、婦人科的なトラブルはなくても、

  • 生理日を調整したい。
  • 緊急避妊ピルが必要。
  • 性病が心配。
  • ピルがほしい。
  • 婦人科ドックをしておきたい。
  • 結婚前に婦人科的な異常がないか調べておきたい

気になることがあればすぐに婦人科を受診しましょう。当院は専門外来(腫瘍専門外来、女性ホルモン外来)を設置していますので、一般婦人科外来とのシームレスな診療を行っています。

気軽に行けるかかりつけの婦人科クリニックを持っているととても安心です。当院は専門性を確保しつつ、気軽に安心して通えるクリニックを目指しています。


月経前症候群(PMS)

生理の1週間から数日前になると「イライラする」「気分が沈んでしまう」という気分障害や「体の具合が悪くなる」という身体症状が見られて、いざ生理が始まると一気に改善するといった経験は、ほとんどの女性がしているといわれています。

このような排卵から月経開始までの時期に見られる精神症状や身体症状を総称して月経前症候群(PMS)と呼びます。PMSの程度には個人差があり、特に気にならないといった軽いケースもあれば、朝ベッドから立ち上がることも儘ならないといった重いケースもあります。また、「怒りっぽくなる」や「不安で仕方が無い」といった精神症状が強く出た際に、職場や家族などの周りの人に対して強く当たってしまったという後悔の声を聞くことも多い疾患です。

PMSの原因は完全には明確になっていませんが、排卵期から月経開始までの期間では女性ホルモンの値が特に大きく変化する時期であることから、ホルモンの急激な変化が原因と考えられています。また、排卵後に分泌量の増加する黄体ホルモンというホルモンもPMSとの関係が疑われています。女性ホルモンであるエストロゲンと黄体ホルモンの分泌量をコントロールすることで多くのPMS症状が改善することからも、この二つがPMSの原因と考えられる根拠となります。

PMSの根治的な治療というものは、その性質上存在しませんが、症状を改善することは可能です。その方法は前述したとおり、体内のホルモン量を一定にコントロールする方法で、主に低容量ピルと呼ばれる経口避妊薬が用いられています。低容量ピルを内服することで体内の女性ホルモンのバランスが一定に保たれ、排卵を阻害することで黄体ホルモンの上昇も抑えることが出来ます。結果としてPMSに効果的な治療となります。しかし、理屈はわかってもホルモン剤を使うことに抵抗のある場合も多く見受けられます。そのような場合は漢方薬が助けになります。漢方薬は血、気、水のバランスの崩れを改善することによって心体の不調を改善する治療で、PMS治療にも活用されます。最近では漢方薬の効果をデータとして示すことが積極的になされており、有効に活用されています。ピルや漢方薬といった治療のほかには、プラセンタを活用することもあります。ベースにピルや漢方薬を使いつつ、プラセンタを補足的に使用することで、より効果的な場合もあります。

当院ではなるべく希望に沿うような方法で、かつ効果的なPMSの改善を図っています。


生理痛・月経困難症

生理痛・月経痛は”がまん”が必要?

日本では生理痛は『がまん』するもの、薬を飲んではいけない!と考えられ、学校教育でも同じように指導されていました。しかし、現在は小中高の学校でも性教育授業において生理痛は我慢するものではなく、薬をのんでもよいと指導されるようになりました。(一部の性教育の遅れているところでは今も古い教育のままですが)

多くの方に少なからずの生理痛があります。その多くの場合、生理痛自体は異常なことではありませんが、生理痛の原因の中には子宮筋腫や子宮内膜症などの病気があることもありますので、一度は婦人科の診察を受けられることをお勧めします。

性交経験のある方には

性交のある方の場合、生理痛の有無に関わらず、定期的な婦人科検診をお勧めします。 最も大切なことは子宮の異常(子宮内膜症や子宮筋腫など)、卵巣の異常(卵巣のう腫や卵巣の働きのチェック)、性感染症などの帯下(おりもの)の異常の有無など、将来の妊娠する能力にも大きく関係することもある婦人科分野全体に関わるチェックです。

性交経験のない方には

無理な内診を行っておりません。 内診の代わりの診察として、腹部超音波による子宮、卵巣のチェックまたは肛門、直腸から診察する直腸診によって子宮、卵巣の異常を診断しています。

一般に子宮がん検査というと子宮頸部がん検査を指すことが多く、これは発生の頻度から子宮頸部がんの方が多いためです。 しかし、近年、月経不順が原因と思われる子宮体部がんの発生も多くなり、子宮頸部がんの検査だけでは不十分と思われます。また、この2種類のがんは、原因や発症しやすい年齢・特徴・治療法などがそれぞれ違うため、正しい知識が必要です。

生理痛(月経困難症)の原因は?病気のサインかも!?

病気の場合と病気ではない場合症状だけではわかりません

生理痛は自然なことも

『生理痛=病気』ではありません。

生理(月経)とは?・・・子宮内膜の入れ替わりの現象です。

月経の量は通常、子宮の大きさと子宮内膜の厚みによって決まります。出産適齢年齢になれば子宮の内膜は厚くなり、月経量もピークになります。今までに出産経験がある場合は、子宮頸管(図参照)の部分が出産時に開いた経験があるため、多くなった月経量でも問題なく排泄されます。しかし、出産経験がない方や、子宮筋腫や子宮内膜症などで月経量が非常に多くなった場合は月経血が排泄されるためには子宮が異常に収縮する必要がでてきます。これが月経痛の原因になります。

強くなってくる生理痛は婦人科のチェックをお勧めします

年齢とともに生理痛が強くなってくることがあります。その原因として月経量の増加が考えられます。

出産適齢期になると子宮内膜(受精卵が着床する場所:いわゆるベッド)が着床に適した状態、つまり厚みを持ちます。しかし、毎月受精卵が着床する訳ではありませんので、そのベッドである子宮内膜は新しい内膜へと入れ替わります。これが月経です。妊娠に非常に適した子宮内膜は厚みを持つため、月経量が増します。これが生理痛を重くさせる原因です。

これに子宮内膜症がプラスすることで耐え難い生理痛へと変化してきます。

当院では問診と診察(内診、超音波検査)などにより正確な診断と、最新の治療方法を提供しております。


卵巣機能障害・生理不順

卵巣の機能とは、主なものとして「排卵」と「性ホルモンの分泌」が挙げられます。初経を迎える時期から本格的に始動するこの二つの機能は20代後半でピークを迎えて、その後は緩やかに機能を落としていきます。機能が低下するとは言っても、排卵という現象は閉経する直前まで見られますが、女性ホルモンの平均的な数値は年齢とともに徐々に下がっていき、個人差はあるものの、全ての女性に見られる自然な変化です。

年齢不相応に卵巣機能が低下している状態を卵巣機能障害と呼び、主な弊害として排卵障害と性ホルモン調節障害が挙げられます。

女性ホルモンの調節異常に関しては卵巣だけでなく、卵巣でのホルモン分泌をコントロールしている脳の部位(下垂体、視床下部)の異常も原因となります。どの部位が原因でコントロールが乱れているのかは数種類の検査によって調べる事ができ、異常に合わせて治療が決まります。

例えば、急激な体重減少によって生理が来なくなるなどの異常が出る場合があり、体重減少性無月経と呼ばれます。また、多嚢胞性卵胞症候群と呼ばれる疾患でも排卵障害があり、生理不順や不妊症の原因になります。

原因によっては一時的なものもありますが、一生付き合って行く必要のある疾患もあり、正確に診断し治療する必要があります。


子宮内膜症

子宮内膜症とは、通常は子宮の中だけに存在するはずの子宮内膜が、卵巣や子宮の表面、臓器を包んでいる腹膜に出来てしまう病気です。10代から40代の女性の約10%に見られ、生理痛や下腹部痛の原因となります。

卵巣に内膜症が出来た場合は、チョコレート嚢胞という名称で呼ばれる腫瘍となります。この腫瘍は超音波検査やMRIで大きさを評価する事が出来るので、病気の進行度合いを観察する事が可能です。

子宮内膜症は女性ホルモンであるエストロゲンが、病気の進行に大きく影響する疾患で、エストロゲンの値が上がったり下がったりを繰り返す事で、内膜症は進行して、その影響範囲を広げていきます。

子宮内膜症の症状

月経困難症
月経とは子宮内膜が崩壊して子宮から膣へ流れ出す現象ですが、この時に、子宮の中では炎症が起きています。子宮の筋肉の収縮とこの炎症が合わさることで、生理痛の程度が変わります。子宮内膜症になっている場所でもこの炎症は起きてしまうので、子宮内膜症が進行していくに連れて、どんどんと生理痛は酷くなっていき、月経困難症に繋がっていきます。
生理以外の下腹部痛、不正出血
子宮内膜症での炎症は痛みの原因になるのはもちろんのこと、子宮や卵巣、腸、膀胱などの周りの臓器との間に癒着を形成してしまいます。この癒着が更なる痛みの原因となり、生理以外の期間でも下腹部痛があったり、性交痛(sex時の下腹部痛)、排便痛が見られる様になります。また、子宮や卵巣周りで炎症や癒着が強くなると、子宮が収縮しづらくなるので、過多月経(生理の量が多い)、過長月経(生理が長い)、不正出血、オリモノ異常の原因になります。
不妊症
子宮内膜症は不妊症の原因にもなりえます。子宮内膜症による癒着で卵管が閉塞している場合はもちろん、チョコレート嚢胞があるだけでも妊娠率に影響があるとされています。卵巣に出来るチョコレート嚢胞の場合は、その大きさと妊娠率に関連があり、特に嚢胞の直径が4cmを越える場合は子宮内膜症性不妊症の確率が高くなります。他の不妊原因が無い時には、内膜症の治療をする事で妊娠しやすくなるケースもあります。
その他

子宮内膜症自体の大きさがあまり大きくない場合でも、膀胱や尿管と癒着をおこして尿閉(尿が出なくなる)や、血尿の原因となる事があります。また、腸管との癒着が強ければ、便秘や腸閉塞の原因となります。

子宮内膜症は子宮や卵巣に見つかる事が多いですが、中には珍しい場所に発症する事もあります。肺の周りや横隔膜に発症すると、生理に合わせて胸が痛くなったり、肺に穴が開いたりしてしまう月経随伴性気胸と呼ばれる症状が見られます。腸管に発症すると血便の原因に、尿管に発症すると血尿の原因になります。

子宮内膜症の治療

手術(嚢腫核出術、付属器摘出術、子宮全摘術)

子宮内膜症性卵巣のう胞(チョコレートのう胞)はサイズが大きい場合や、症状が強い場合、不妊原因となっている場合、癌化が疑われる場合には手術による治療が適応になります。卵巣を温存する場合は内膜症のみを切り取る嚢腫核出術を行い、温存しない場合は片方の卵巣ごと切除する付属器切除術を行います。両側付属器を切除すると根治術となり、再発の可能性は極めて低くなります。その他、子宮に内膜症があり(子宮腺筋症)過多月経や生理痛のひどくなるような場合は、子宮摘出するケースもあります。

将来子供がほしい人や子宮を残す希望の強い人では筋腫だけ取る手術を実施しますが、筋腫を切り出す際に出血が多くなるのが難点です。また、子宮筋腫は複数個できることが多く、手術中に肉眼で見てもわからないような小さな筋腫や、見えにくい位置に出来ている筋腫は術後も残ることになります。そのため、子宮筋腫は手術後の再発率が高い病気であり、せっかく手術したのにすぐに再発して元通りとなる事もしばしばあります。

偽閉経療法

薬を使って一時的に体を閉経している状態にします。子宮内膜症は女性ホルモンであるエストロゲンに反応して大きくなっていくので、閉経後のエストロゲンが低くなった状態では逆に小さくなっていきます。この現象を、GnRHアゴニストと呼ばれるホルモン剤によって人工的に作り出す治療法が偽閉経療法です。

治療薬として使用するのは同じものですが、2種類の投与方法があります。一つは点鼻薬(鼻からのスプレー剤)で、毎日行うもの、もう一つは注射薬で4週間に1回のペースで注射します。

この治療法では女性ホルモンの分泌が少なくなるので更年期様の症状が見られたり、骨粗しょう症の発症リスクが高まったりするため、半年間しか治療できません。また、治療初期には不規則な出血を認めることもあります。治療中は生理が無くなるので、生理に伴う症状は見られなくなり、子宮内膜症も小さくなりますが、治療を中止するとすぐに元の状態に戻ってしまいます。そのため、手術の成功率を上げるために手術前に一時的に使用するか、閉経に至るまでの一時的な避難として行われています。

ピル
低用量ピルを使用する事で生理の量や痛みを減らす事が出来ます。また、子宮内膜症は女性ホルモンに依存して成長する疾患なので、ピルによって女性ホルモンを一定にコントロールする事で腫瘍の成長を止める事や、場合によっては小さくすることが出来ます。ピルによる治療では、偽閉経療法で見られる様な更年期症状も出ず、骨粗しょう症のリスクも上がりません。
黄体ホルモン製剤

黄体ホルモンの一種であるプロゲステロンは、排卵後に卵巣から分泌されるホルモンなので、薬用に精製された黄体ホルモン製剤を内服すると、体は排卵後の状態だと勘違いします。黄体ホルモン製剤を飲み続けて、この状態をキープする事で体内のホルモン環境は安定した状態で維持されるので、女性ホルモンに依存している子宮内膜症は、その勢力が弱まります。また、プロゲステロンには子宮内膜細胞の成長を止める作用もあるので、子宮内膜細胞から出来ている子宮内膜症も成長し難くなります。

この様なプロゲステロンの作用を利用した黄体ホルモン製剤による治療は子宮内膜症の症状軽減はもちろん、嚢胞の縮小効果や手術後の再発抑制効果などが認められています。

IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)
子宮の中に黄体ホルモンを持続的に放出する器具を装着する治療法です。黄体ホルモンには子宮内膜を薄くする効果があるので、避妊効果の他に生理痛の緩和、生理の量を減少させる効果があります。IUSの装着に適している女性(出産歴がある、長期避妊を希望している等)には画期的な治療となりますが、場合によっては装着出来ない可能性もあります。

チェックポイント

子宮内膜症は月経の度にゆっくり進行していくので、「どんどん酷くなる生理」というのが特徴的な症状です。月経時の腹痛や、性交時痛、排便痛などの骨盤痛と呼ばれる症状は痛み止めの使用によって一時的に和らぐ事があったとしても、その原因となっている内膜症が改善している訳では無いので、生理の度に症状が強くなっていきます。

子宮内膜症は、その大きさに応じて癌化や不妊症等の合併症のリスクが変化する事が知られており、しっかり定期的に経過を観察する事が重要です。


ミレーナ

ミレーナは子宮内に装着する黄体ホルモン徐放製剤です。一度装着すると5年間は有効です。挿入すると生理の出血がなくなるので、生理のわずらわしさから解放されます。(閉経するわけではありません)過多月経、月経困難症の保険適応がありますので、該当する場合は保険診療となります。避妊を目的とする場合は自費診療となりますのでご了承ください。


ピル(低用量経口避妊薬)自費診療

当院で扱っているピル一覧

当院では28日服用タイプを採用しています。

第1世代:シンフェーズ
第2世代:アンジュ、ラベルフィーユ、トリキュラー
第3世代:マーベロン
(*第1世代オーソM オーソ777は製造終了となりました)

ピルは利用価値の高いおくすりです。

ピル(低用量経口避妊薬)は避妊を目的としたお薬ですが、生理痛がひどい(月経困難症)、生理不順、生理前にとても調子が悪い、にきびが出るといったことに対しても効果があるという事が認められています。ピルは一つの薬で多様な効果が期待できます。

ピル使用にあたっての注意 ~血栓症~

ピル服用にあたって最大の注意点は、血栓症のリスクです。血栓症は、血管内に血の塊ができ血管を詰まらせてしまいます。血の塊が血管内を流れて肺などの重要臓器の血管を詰まらせてしまうと重篤な状態になってしまいます。ピルを使用していると血栓症のリスクが生じますが、高率に血栓症を発症するというわけではありません。実際のところ、1万人の婦人が1年間ピルを服用した場合、3-9人発症するリスクがあるとされています。ピル服用していない人であれば1-5人です。あまりピンとこない数字かもしれませんが、例えば産後12週までの褥婦は1万人中40-65人が血栓症を発症するリスクがあるとされていますので、産後のほうがピル服用するよりよっぽど血栓症のリスクが高いことがわかります。他にも、喫煙であったり、高度の肥満であったりするとそれだけで血栓症のリスクが高くなります。そのため、リスクの高い人にはピル使用の制限が生じます。

ピル使用上の注意

ピルはとてもメリットの多いおくすりですが、誰でもいつまでも使えるおくすりではありません。
慎重投与であったり、投与してはいけなかったりするケースがあります。

例えば、40歳以上、喫煙者、軽症の高血圧、肥満などは慎重投与、初経発来前、50歳以上または閉経後、35歳以上で1日15本以上の喫煙、前兆ある片頭痛、産後4週間以内などは投与できません。

避妊のためピルを使いたいけど上記に当てはまってしまい使えない場合、そのほかの方法で対応します。当院では個々の希望に合わせて対応していますので、お気軽にご相談ください。

ピルの飲み方相談について

他院やネット通販でピルを処方・購入されている方からの飲み方やピル変更などの相談についてアドバイスさせて頂きます。

≪相談料:1回 5,500円(税込)≫

※当院では、当院にてピルを処方されている患者様のみ、電話で無料相談を行っております。長期的に付き合っていくお薬ですので、ご自身の判断で不安を抱えながら服用するのではなく、正しい知識のもとでの服用をおススメします。


超低用量ピル保険診療

正式には低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤といいます。これは月経困難症や子宮内膜症に対する治療薬(保険薬)として使用されます。

おくすりにはルナベルULD、ヤーズ、ヤーズフレックスがあります。いずれも低用量ピルと異なりホルモン配合量を抑えていて、治療目的で使用されるピルです。ピルであることには変わりがないので、ピルによる副作用(血栓症など)は同様に注意が必要です。

ルナベルULD、ヤーズ、ヤーズフレックス3種類のおくすりの中でルナベルULDとヤーズは28日間を1周期としているので、毎月1回月経が来るようになっています(月経量はとても少なくなります)。一方ヤーズフレックスは、国内で唯一連続服用が可能となっている(120日間連続服用可能)おくすりです。そのため、月経回数を減らすことができるというメリットがあります。

ヤーズフレックスについて

ヤーズフレックス配合錠は、国内で唯一連続服用が可能となっている超低用量ピルです。子宮内膜症に伴う疼痛の改善、月経困難症を対象とする保険薬となります。
最大の特徴は120日間連続服用が可能であるという事です。
通常の超低用量ピル、低用量ピルは実薬偽薬(休薬)含めて28日間を一つの周期としていますので、28日に1回必ず月経が来る計算になります。それらに対してヤーズフレックスは120日間連続服用可能なため、月経回数を減らすことができます(年間3-4回)。月経困難症の人にとって月経回数が減らせるのは大きなメリットがあり、ヤーズフレックスの一番の利点となります。
ピルであることには変わりないので、ピルと同様の副作用があります。
また、出血した際の対応など特有の注意点もあります。
ほかに、低用量ピルと異なり保険薬のため最大3シートの処方となります。


緊急避妊用ピル(アフターピル)自費診療

避妊法はいくつかありますが、女性が自主的にできる避妊方法の一つとしてピルがあります。しかし、諸事情で避妊に失敗してしまった場合、性交渉後緊急的に避妊効果を得るための方法が緊急避妊ピル(アフターピル)になります。

当院では世界的に標準使用されているノルレボ法を採用しています。性交後72時間以内にレボノルゲストレルを1錠服用する方法です。嘔気などの副作用が少なく、従来のくすりと比べ高い妊娠阻止率(85%程vs従来法57%)を誇っています。妊娠率は1.1%(vs従来法3.2%)、排卵日付近の性交に限った妊娠率は15%(vs従来法45%)となっています。

緊急避妊ピルを内服していれば妊娠しないというわけではないので、内服後の3週間のうちに生理が来るかどうかきちんと確認しましょう。

[当院採用薬]
ノルレボ錠:12,000円(税込)/1回服用
レボノルゲストレル錠(ジェネリック):9,000円(税込)/1回服用


性感染症

性感染症とは、性行為やそれに類似した行為から感染する病気です。

かつては、梅毒、淋病、軟性下疳、鼠蹊リンパ肉芽腫が4大性病といわれていました。

しかし、性風俗の変化に伴い、70年代に入ると性行為に関連して感染する病気が非常に増えてきました。これらの病気を「性感染症」と総称するようになったのです。

今では、エイズをはじめ、クラミジア、性器ヘルペス、トリコモナス、さらにB型ウイルス性肝炎から毛ジラミまで極めて多様な病気が性感染症の中に入っています。

性感染症は決して特殊な病気ではないこと、むしろ極めて身近な病気であるということです。とくに、日本では性感染症は増加傾向にあります。

現在、増加している性感染症をみると、はっきりした症状が出ないものが多い傾向があります。梅毒や淋病などは、その病気に対する知識さえあれば、ある程度の段階で症状に気付き、病院を受診することも可能でした。ところが、最近増加しているクラミジアやヘルペス、エイズなどは感染してもほとんど目立った症状がなく、感染したこと自体に気付かないことが多いのです。しかし、こうした性感染症の多くは、さまざまな病気を引き起こし、不妊症の大きな原因になります。母体から胎児へ、あるいは出産時に赤ちゃんに感染する病気もあります。また、ウイルスによる性感染症の中には、いい治療法がないものもあります。

つまり、何気なく行った無防備なセックスが、のちに取り返しのつかない結果を生むこともあるのです。エイズの場合、幸い最近では発症を防ぐ薬も開発されていますが、それでも常に死の恐怖に付きまとわれ、エイズウイルスを抱えたまま生活しなければならないことに変わりはありません。

性感染症は、たった一度の性交渉でも感染する危険性があります。わずかな心のゆるみや無関心、性感染症に対する無知が、一生を左右してしまうこともありうるのです。とくに、若い人には十分にこうした危険性を認識してほしいものです。そして、性感染症は一般に男性から女性の方に感染しやすい傾向があり、また重症化するものが多いことも覚えておいて下さい。

性感染症は、治療ももちろん大事ですが、一番重要なことは感染を防ぐことです。

その方法が、性器の直接の接触を防ぐコンドームです。性感染症は濃厚な粘膜の接触から感染するので、必ず最初からコンドームを装着して最後まではずさないことが大事です。ここで、注意してほしいのは避妊と性感染症の予防とは、意味が異なるということです。コンドームは、避妊具として知られています。そのため、男性が射精する時だけ装着していればいいと思っている人もいるのではないでしょうか。しかし、性感染症の防御のためには、射精の時だけでなく、性器の直接的な接触を防ぐことが大事なのです。また、性器と口の接触、性器と肛門の接触によっても、性感染症は感染します。いわゆるオーラルセックスやアナルセックスなどでも感染するのです。

したがって、コンドームは最初から装着すること、ピルなどほかの避妊法では性感染症の防御には全く意味がないことも覚えておきましょう。

若い女性の場合、日本ではとくに男性に避妊などの処置をまかせがちです。しかし、恥ずかしいからなどと言っている場合ではないのです。女性もコンドームを持ち、自分からもコンドームの装着を促しましょう。それが、現代のスマートなセックスのあり方なのです。若い時の気まぐれなセックスに、あとあと苦しめられることがないように、ぜひこのことを覚えておいてください。

そして、性感染症に感染すると局部の防衛力が低下して、エイズにも感染しやすくなることもわかっています。

淋病

淋菌の感染が原因です。この菌は感染力が強く、感染者とセックスをすると簡単にうつります。男性の場合は、感染して3日ぐらいで排尿する時に激しい痛みが現れ、尿の出口からウミが出たり、ペニスの先が赤くなります。これは、淋菌が尿道で炎症を起こすためです。

放置すると炎症が広がり、副睾丸炎を起こします。不妊症の原因にもなる病気です。しかし、男性は症状が激しいので、初期に感染に気付きやすいともいえます。これに対して、女性はほとんど症状がありません。やはり、尿道や腟に感染するのですが、おりものが増加する程度で男性ほどはっきりした症状がないことが多いのです。しかし、これを放置するとやがて子宮や卵管、卵巣などに炎症が広がり、強い下腹部の痛みや発熱が起こります。こうした女性生殖器の炎症が不妊症につながることも少なくないのです。

症状が少ないだけに予防が大切です。治療には抗生物質が使われますが、いかに早く発見し、炎症が広がらないうちに治すかが問題です。

性器クラミジア感染症

性感染症の中で世界的に大流行し、日本でも感染者が一番多いのがクラミジアです。一般の女性でも15~19歳では4.3%、20~24歳では6.4%の人が気付かない間にクラミジアに感染しています。日本全体では、感染者は95万6千人にものぼると推定されています。

クラミジア感染症は、感染してから症状が現れるまでの時間が長く、かつほとんどはっきりした症状がないのが特徴です。感染してから症状が現れるまでは、8~14日ほどかかり、長い場合は15日以上かかることもあります。それだけ、性行為と関連して考えることが難しいわけで、この間にほかの人に感染させる危険性も大きいわけです。

また、症状も男性の場合、尿道の不快感やムズムズ感、軽い痛みやかゆみ程度のことがほとんどです。女性の場合は、子宮頸部に炎症が起こりますが、ほとんど症状がありません。そして気付かないまま炎症が奥に広がり、卵管炎などを起こして不妊症になるケースも多いのです。

妊婦が感染した場合には、赤ちゃんに結膜炎や肺炎を起こすこともあります。治療にはやはり抗生物質が使われます。

性器ヘルペス

これも、最近女性に多く、赤ちゃんに新生児ヘルペスを起こすことで問題になっている病気です。

ヘルペス自体はよくあるウイルスで、水疱瘡などを起こすウイルスです。しかし、ウイルスにも種類があり、セックスによって単純ヘルペスウイルスに感染すると、性器ヘルペスを起こします。このウイルスは一度感染すると、神経の中にすみついてしまい、何かのきっかけで再発を繰り返すのが特徴です。

1.最初の感染
セックスによって感染後、3日~1週間ぐらい後で外陰部に痛みが起こります。この痛みは強烈で歩くことも排尿もできなくなり、入院する人もあるほどです。外陰部には水膨れや皮膚のただれが起こり、37~39度くらいの熱が出ることもあります。足の付け根のリンパ節が腫れて痛みが出ます。
2.再発
この時は、最初ほど激しい症状は現れません。感染した局所に水疱やただれが起こり、リンパ節が腫れることもあります。しかし、症状は1週間ほどで治まるのが普通です。疲れや月経、セックスによる刺激などが再発の誘因になるともいわれていますが、人によって再発の頻度は異なり、年に一度再発するという人もいれば、毎月のように再発する人もいます。
また、妊娠や抗がん薬による免疫の低下などを引き金に、症状が起こることもあります。
3.新生児ヘルペス
赤ちゃんが生まれる時に、母体から赤ちゃんにヘルペスウイルスが感染することで起こります。この病気は非常に死亡率が高いので、帝王切開による出産も必要になります。
性器ヘルペスの治療は、アシクロビルといわれる薬が中心になります。しかし、この薬で神経の中にすみついたウイルスを駆除することはできません。つまり、症状を抑えることはできても、再発まで抑えることはできないのです。したがって、この病気も予防が一番大切ということになります。

ただ、再発は感染から時間がたつほど減少するといわれています。

エイズ

エイズは、HIVというウイルスの感染によって起こる病気です。発見当初は、男性同性愛者の病気といわれ、日本では血液製剤による感染者が多数を占めました。しかし、現在ではごくふつうの性感染症、つまりセックスによって感染する病気であることがはっきりしています。日本でも男女間のセックスによる感染が同性愛者間の感染より多くなっています。

エイズの場合、感染した当初、発熱、筋肉痛、のどの痛みなど風邪と似た症状が出ることがありますが、ほとんどの場合気付かないまま放置されています。この症状は1週間ほどで消え、このあとウイルスに対する抗体が陽性になります。抗体ができるまでには、人によって2週間から3カ月かかります。抗体検査でエイズ感染がわかるのは、抗体が陽性になってからです。ですから、原因となる可能性のあるセックスをしてすぐに病院で検査を受けても、わからないのです。これを「ウインドウ・ピリオド」と呼びます。

しかし、最近は直接血液中のウイルスの量を測定することが可能になっています。そして、その量から発症の時期を予測することも可能になっています。

感染したHIVウイルスは、体を病気から守る免疫で働く細胞を破壊しながら増殖していきます。その結果、免疫が低下してさまざまな病気に感染し、かつ重症になっていくのです。これまでは、感染後10年の間にほとんどの人がエイズを発症し、発症後1年以内に死亡するというのが定説でした。

しかし、現在は3種類の薬(逆転写酵素阻害薬2種類とプロテアーゼ阻害薬)を飲み続けることで、ウイルスの量を減らし、発症を防ぐことができるようになりました。といっても、高額の薬をずっと飲み続けないと、ウイルスの増殖が再び始まります。

したがって、早期に感染を発見し、薬でエイズの発症を予防し続けるというのが現在の治療法です。これによって、死亡者はかなり減少するものとみられています。

しかし、エイズもコンドームをきちんと装着すれば予防の可能な病気です。そして、感染の危険を感じたら、必ず病院で検査を受けましょう。病院では、プライバシーが守られるように配慮されていますから、安心して受診しましょう。

梅毒

トレポネーマ・パリダムという病原体の感染によって起こります。梅毒は、感染からの期間によって4期に分類され、その時期によって現れる症状にも違いがあります。

感染から3カ月までの間が1期です。感染3週目ぐらいには、感染した部分に硬いしこりができます。ふつうは1個ですが、最近はフェラチオなどで男性性器が傷つき、そこからトレポネーマが侵入するケースも増えてきました。この場合、傷口が病原体の侵入口になるので、2個、3個としこりができることもあります。また、女性の側は唇やのどにしこりができることもあります。

しこりは、痛みなどの症状はなく、自然に消えていきます。しかし、これで治ったわけではないのです。2期(感染後3カ月から3年)に入ると、全身に薄いピンクの斑点(バラ疹)や赤いブツブツ(梅毒性丘疹)が現れ、手足の裏側には赤銅色のカサカサした斑点が現れます。かゆみや痛みなどはありませんが、この時点で今は、ほとんどの人が病院を受診しています。

放置して3期、4期になると鼻に穴が開いたり、神経を侵されて痴ほうになることもあります。最近では、ここまで進んだ梅毒はほとんどないようです。

幸い、治療にはペニシリンがよく効きます。2期までの間に治療を受ければ、問題なく治ります。


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